DAIKEN×Third Baseによる新領域事業開発と研究開発ビジョン策定の実現
―対話重視の伴走で新領域の挑戦を推進し、研究開発ビジョンや事業化に確かな筋道を引く
Client:DAIKEN
コンサルティングとメンタリングを使い分け、企画推進+組織力増強
スピーカー紹介
DAIKEN株式会社
R&Dセンター 次長
氏名:高澤 良輔 様
DAIKEN株式会社
R&Dセンター 開発企画室 室長
氏名:石黒 成紀 様
DAIKEN株式会社
R&Dセンター 開発企画室
氏名:辻 真輝 様
DAIKEN株式会社
R&Dセンター 開発企画室
氏名:宮田 晴香 様
株式会社Third Base
代表取締役
氏名:今村 将人
株式会社Third Base
ディレクター
氏名:別城 啓太
※ 部署名・役職は当時
プロジェクト発足の背景
藻場再生に向けた海域への新たな挑戦。伴走できる存在を探して
Q(今村): DAIKENさんには弊社の創業以来、大変お世話になっております。改めてですが、まずはみなさんが所属しているR&Dセンターのミッションについて教えてください。
A(高澤様): 弊社は主に内装建材を製造販売するメーカーですが、今年で80周年を迎え、次の10年に向けた変革期にあり、新たに「ずっと ここちいいね」というコーポレートタグラインを設定しました。「ずっと」はサステナビリティ、「ここちいい」は快適性、「いいね」は皆様に選んでいただけるという意味を込めています。
私たちR&Dセンターは、この「ずっと ここちいいね」を実現するための技術開発や新事業につながる研究開発を担う部門になります。
Q(今村):その中で最初にご発注いただいたのが「藻場再生資材」の案件でした。背景と狙いをお聞かせください。
A(高澤様):従来、私たちは木質資源の有効活用、つまり陸域の森林から得られる資源を活用した製品づくりをしてきました。しかし、「ずっと ここちいいね」という理念のもと、サステナブルな資源循環への貢献を考えた時、陸域だけでなく海域にも視点を広げる必要があると感じました。現在、藻場の消失は深刻な環境問題となっており、「私たちのものづくりの力で何か解決できないか」という思いがこの取組の出発点です。
とはいえ、私たちにとって海の環境や関連ビジネスは全く未知の領域であり、調査を進めるために確かな足がかりとなる外部のサポートを必要としていました。ちょうどその頃に他部署からThird Baseさんを紹介いただき、お話を伺って依頼を決めました。

DAIKEN株式会社 R&Dセンター 次長 高澤 良輔 様
展示会で高評価を獲得。対話重視の伴走型コンサルで作り上げた当時の作成資料は今も活用
Q(今村):3ヶ月間の事業性検証を振り返っていかがでしたか。
A(宮田様): 開発テーマとして進めていけるかどうかを判断する材料が欲しく、そのためには事業面と技術面の両方を見る必要がありました。しかし、技術者である私たちは事業面で何を基準に判断すべきかあまり分からない状況でした。Third Baseさんのコンサルティングを活用することで、短期間でより高い完成度までデータと中身を整えることができ、実際に技術開発や実証試験につなげることができました。あの3ヶ月があったからこそ前に進めたと思います。
Q(今村):1年経った今、当時の内容は活用されていますか?
A(宮田様): 正直、ご支援いただいた当時はまだ理解しきれていない部分もありました。しかし実証試験を進める中で、「ああ、あの時に国の制度について調べてもらっていたな」「この企業、Third Baseの資料に載っていた」と振り返ることが何度もあります。改めて資料を見直し、当時は注目していなかった企業や団体の情報も、今では活用できています。
A(辻様): 開発に入る前段階で網羅的に調査いただいたことは、情報面で非常に参考になりました。開発側が自ら行うと、どこまで調べるべきなのかの判断がつかないものですが、期間を区切ってしっかり調べ上げていただけたことはありがたかったです。
A(石黒様):事業立ち上げの資料をご協力いただいたことで、無事に開発テーマとして認められ計画を進めることができました。また、コンサルティングとして支援いただいたことで担当者は資材開発に専念することができました。
先日の展示会では非常に評判が良く、大きな注目を集めました。「いつ事業化するのか」と問われる場面も増えており、当時作成いただいた資料は今後も価値を発揮し続けると思っています。
Q(今村):リーダーである高澤様から見て、このプロジェクトの進め方はいかがでしたか?
A(高澤様):通常のコンサルティングファームと比較してミーティングの頻度も高く、私たちと対話しながら作りあげるスタイルが非常に良かったです。一方的ではなく、私たちの意思も反映していただけたと感じています。
また、この検討を通じてメンバーの成長も強く感じました。考え方や調査・企画の進め方についても非常に学びが多く、成果物の完成度にも大変満足しています。改めて、お願いして本当に良かったと思います。
A(宮田様): バラバラだった情報をしっかりと1つにまとめ上げていただき、ストーリーとしてつなげていただけました。最終的に自分たちが取り組む意義があるかどうかの判断材料まで整えていただけた点は、我々だけでは成し得なかったと思います。

DAIKEN株式会社 R&Dセンター 開発企画室 室長 石黒 成紀 様
メンタリングを通じて「自分たちの言葉」で研究開発ビジョン、実現に向けた技術ロードマップの策定へ
Q(今村):その後、「研究開発ビジョン・技術ロードマップ策定プロジェクト」についても一緒にお仕事をさせていただきました。案件の背景についてお聞かせください。
A(石黒様): 80周年に合わせ、「ずっと ここちいいね」というメッセージに対し、R&Dセンターとして何をしていくかを示すビジョンを策定しました。80周年記念展示会ではお客様に向けて、R&Dセンター流に解釈した研究開発の方向性をお伝えすることが目的でした。
しかし、私たちにはビジョン策定の経験がなく、どこから着手すべきか分からない状態でした。そこでThird Baseさんには、手取り足取り進めていただくのではなく、進め方や考え方そのものをご提案いただく形でご支援をお願いしました。
Q(今村):「研究開発ビジョン・技術ロードマップ策定プロジェクト」についてはメンタリングという手法を採用しましたが、実際いかがでしたか?
A(辻様): 最初は「ビジョンとロードマップをとりあえず作ろう」という曖昧な状態でした。メンタリングの序盤ではスケジュール整理に加え、「そもそもビジョンとロードマップとは何か」という根本的な部分から掘り下げていただき、その過程で分かっていたつもりが実は全然理解できていなかったことに気づかされました。加えて、モヤモヤしていた部分を言語化していただけたことも大きな助けになりました。違和感はあるものの、うまく言葉にできなかった部分を、意図を汲み取って的確に表現していただけました。
A(宮田様): ビジョン策定は初めての取り組みで社内での認識のすり合わせが十分でない状態から始まりましたが、メンタリングの場を通じて社内メンバーも含めた認識の共有ができました。軌道がずれそうになった時も適切に修正いただき、改めて「何をやるのか」を全員で確認しながら進められたことで、短期間でビジョン・ロードマップ策定を着実に進められたと思います。また、自分たちで作業する中で、効率的な進め方のアドバイスもいただけたため、他の業務への影響も最小限に抑えることができました。

DAIKEN株式会社 R&Dセンター 開発企画室 辻 真輝 様
コンサルティングとメンタリングを併用して感じたそれぞれの特徴と効果
Q(今村): 両方の手法を体験されて、コンサルティングとメンタリングの違いをどう感じられましたか?
A(高澤様): 一般的なコンサルティングとは異なり、Third Baseさんのコンサルティングは対話を重ねながら作り上げていくスタイルが非常に魅力的だと感じました。また、メンタリングでは人材育成、メンバーの成長といった側面が一層強くなると感じています。
A(石黒様): メンタリングではチームメンバー2人の考えを引き出していただいただけでなく、与えられた課題に対して2人で議論する機会が多く生まれたと思います。その結果、チーム内のコミュニケーションの活性化にもつながったと感じています。
コンサルティングも単にこちらが情報をもらうだけでなく、こちらの考えを引き出しながら組み立ててくださっているところが良かったですね。
Q(今村):コンサルティングの方が良い場面はありますか?
A(高澤様):コンサルティングの方が圧倒的にスピード感はあると思います。我々が考え方のフレームワークを理解するのに時間を要する部分もあり、新しい事業領域における調査を依頼する場合はコンサルティングの方が早いと感じます。
ただし、今回メンタリングを受けたことで、次は自前で進めてほしいと思っていますし、もう十分にできるだろうと期待しています。
A(石黒様):第三者的な意見が欲しい時はコンサルティングの方が良いかもしれません。自分たちだけだと、どうしても主観が入ってしまいますから。
週2回のメンタリング。未完成でも進める議論の価値
Q(今村):週2回の頻度について、率直なご感想をお聞かせください。
A(宮田様): 正直、週2回のペースではこちらが動ききれていなかった部分もあり、そこは反省点だと感じています。相談ベースになることも何度かあり、メンタリングは自分たち主導だからこそ、「自分たちが動かなければ話は進まない」ということを改めて実感しました。
A(辻様): 開発ビジョン策定の締切がタイトだったため、週2回のペースで軌道修正を重ねながら期限までに進められたのは良かったと思います。もう少し自分たちで検討する時間をとれれば週1回でも良かったかもしれませんが、修正しながら優先順位を立てて進められたため、今回は週2回が適切だったと感じています。
Q(今村):100点の状態で週1回か、30点・50点の状態で週2回か、というのは私自身も悩むところです。ただ、30点・50点の段階で議論を深め、点数を上げていく方法こそが、メンタリングの意義ではないかと考えています。
A(石黒様):週2回だとメンバーがほぼ何も準備できていない回もあり、当時は負担が大きそうだなと感じていました。ただ、週1回になれば余裕があったかというと、必ずしもそうでもないかもしれません。こちらの準備が不十分でも進行していただけていたため、振り返ってみると週2回で良かったと感じています。

DAIKEN株式会社 R&Dセンター 開発企画室 宮田 晴香様
外部ならではの専門性の深さと新たな視点。60点の状態でも話せる信頼感
Q(今村):外部であるThird Baseを利用してみたご所感はいかがでしたか。
A(宮田様): 藻場の案件では、我々も事前に調査をしていたつもりでしたが、Third Baseさんが短期間で専門家になっていく様子が印象的でした。短期間であれだけしっかり知識を蓄えて、想定していた以上のレベルでお話しいただけることに驚きました。
また、企業や自治体など我々だとすぐにアプローチしづらいところにも入っていただけたのは大きかったです。インタビューも非常にスピーディーに実施していただき、一気にプロジェクトを進めることができました。
A(辻様): 自分たちにとっては当たり前だと思っていることが、外部の視点から見ると必ずしも当たり前ではないという気づきが得られました。また、計画を立てつつ、必要に応じて修正を加えながら完成形を目指す進め方は新鮮でした。
A(宮田様): 社内向けでは、「きちんと整理してから相談しよう」と思いがちですが、Third Baseさんは60点の段階でも受け止め、噛み砕いてくださるという信頼感がありました。そのおかげで、モヤモヤを溜めずに率直に共有でき、対等な立場で意見を交わすことができたのが良かったです。

株式会社Third Base 代表取締役 今村 将人
自走力の向上と今後への期待。挑戦し続ける組織づくり
Q(今村):最後に、今後の事業展望をお聞かせください。
A(高澤様):これから80周年を迎えて変革に向けて動き出す中で、一緒に策定した研究開発ビジョンの実現に挑戦していきたいと思っています。R&Dセンターとしては新事業・新製品につながる技術開発の企画を積極的に立ち上げていく方針です。その中で調査・企画の部分では引き続きThird Baseさんとご一緒したいですし、メンタリングを通じた担当者の人材育成や成長においてもお力添えいただければと思っています。
A(石黒様): 今回作ったビジョンは非常に役立っており、今日もお客様との打ち合わせで使用しました。外に出しても恥ずかしくないものを作ることができたと思っています。ロードマップについてはまだ使い込めていないので、引き続き頑張っていきたいと思います。
A(辻様): 形にすることと、実際に活用していくことの両方が重要だと考えています。完成にこだわりすぎず、どう使いこなしていくかを模索していきたいと思います。
A(宮田様): ビジョンは策定できたものの、現時点では、全社的にまだ十分に普及していません。今後は、社員全員にしっかり浸透させていくことが次の重要な課題だと考えていますので、その実現に向けて取り組んでいきたいです。
Q(今村):本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。メーカーの技術部隊の強さと、次の10年を作り上げていく皆様の想いを強く感じました。企画という領域で、今後もぜひお力になれたらと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

インタビュー実績
Client:ブリヂストン
ブリヂストン × Third Baseによる 路面データを活用した新規事業アイデアの事業性分析・PoCの推進 ―事業開発を推進しながら、組織の自走力を強化する
Client:パーソルキャリア
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Client:DAIKEN
DAIKEN×Third Baseによる新領域事業開発と研究開発ビジョン策定の実現 ―対話重視の伴走で新領域の挑戦を推進し、研究開発ビジョンや事業化に確かな筋道を引く
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